8-2名門コーネルの景観

 大学の評価尺度は様々あり、個人的には好きな材料ではないけれど、大学、大学院の卒業生などを含めたノーベル賞受賞累積者数四十名以上。代表作「大地」で米国人女性として初めてノーベル文学賞を受賞したパール・バック。言葉の高い意味で“天才”の名をほしいままにした物理学者リチャード・ファインマン。彼はプリンストンに学び博士号を得、コーネルで学者生活をスタート、CALTEC(カリフォルニア工科大学)で教授になった量子電磁力学者である。「科学者の言うことを全部正しい、なんて思っちゃいけませんよ」「ノーベル賞なんて迷惑だ!」「デカルトはなぜ虹の研究をしたと思う?――虹を美しいと思ったからだよ」など名調子とユーモアいっぱいの上、“図で量子力学を説明する”など非凡な発想と反骨精神で賞などより「どう生きたか」を印象づけた。  事業家に目を転ずれば、一例だが世界最大の半導体ファブレス企業クアルコムのアーウィン・ジェイコブス。第二位のブロードコムと合わせると東芝、日立、SONY、パナソニックなど日本を代表する大手電機メーカー合計八社の事業利益を遥かに上回る超優良会社の創始者である。台湾のドン・李登輝元総統もここに留学し農業経済学博士を取得。またインドを牽引する大富豪タタ財閥のラタン・タタ会長もコーネルOB。一昨年彼は母校に五十億円の寄附をした。  一方キャンパスで購入したぶ厚い書「著名なコーネリアン百人」。ここにはノーベル賞受賞者の多くは記載されておらず、例えばYMCAの創始者、世界初の摩天楼エンパイヤステートビルの共同設計者、初代スーパーマンを演じた映画俳優といった人物が紹介されており、社会や世界にインパクトを与えた価値観の尺度の違いを感じたものである。  米国でも一流校は狭き門といわれているが、コーネルやプリンストン、イエールやハーバードなど米国東部の名門アイビーリーグに学部入学するのは極めて難関。米国にも公立高校と私立高校がある。確率的にはPreparatory School、略してプレップ・スクール(Prep School)と呼ばれる名門私立高校から入学する学生が多い。上流階級の子弟に対する教育の場として伝統をもち、寄宿舎制を主体とした高等学校で、J・F・ケネディの出たチョート校やグロトン校、セントポール校など十数校が名門プレップ。全寮制で昔は三食ともジャケットとネクタイ着用の正装、指定座席で食事を取っていたようである。多くは猛勉強を重ね、その上キリスト教による規律訓練など文武両道、高校時代に公共奉仕の経験が求められる。SAT(大学進学能力基礎試験)の得点は高度に設定、その前段階のPSAT(Preliminary Scholastic Aptitude Test)の出来も問われる。


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